(財)三萩野病院改善事例

 病 院 紹 介 

私たちが勤務する(財)三萩野病院は、福岡県北九州市のほぼ中央に位置し、各種施設やイベント会場が周辺に数多く存在し、
中でもドーム型競輪場のメディアドームが代表的です。
本院は、昭和39年に開設し、現在 181床の病床数で 
一般・急性期病院として、地域医療を行い、診療科は外科・内科を主体に11診療科、職員数221名です。

『患者様本位の医療サービスを提供する』の理念に基づき、平成3年よりQCサークル活動を実施
全院で23サークルが年2回院内発表大会を行なっています。
今までに460の職場問題に取り組んできました。


   


 サ ー ク ル 紹 介 



あすなろサークルは、平成3年10月に栄養士と調理員の混合チームで結成されQCサークル活動をしていました。
その後は、同じ栄養科内のひまわりサークルに所属し、平成13年5月まで一緒に活動を行ってきました。
平成13年6月より調理員チームのあすなろサークルを再結成しました。
あすなろサークルは男性1名・女性9名の10名で構成されています。
QCをまったく理解していないおばさんばっかりのサークルで
当初は何をどうしたら良いのかわからないまま「よりよい給食づくり」を科の方針
「患者様に喜んでいただける給食作りを目指そう」をサークル方針とし
おばさんパワーを全開しながらQC活動を行っています。
この問題の解決にあたり月あたりの会合回数は15回、1回あたりの会合時間は平均0.5時間でした。


 テ ー マ 選 定 理 由 

 QCを理解していないおばさんばっかりでしたが、とりあえず、問題点を出し合いました。
マトリックス表で評価した結果『問合せで作業が中断する』が第1位となりました。




【作成日:H13.6.25  作成者:藤由】


 問 題 点 の 背 景 

ここでの問合せとは、作業中の担当者がどの様に作業を続けていけば良いかわからなくなった時
栄養士やベテラン調理員にたずねる事を意味しています。

平成13年7月1日〜14日の2週間について、問合せで作業が中断した件数は(図・1参照)調理業務が19件で全体の61%になりました。作業が中断した時間も(図・2参照)調理業務が82分で全体の75%を占めていました。

そこで私たちは『調理業務時の作業中断時間の短縮』をテーマとして取り組んでいく事に決定しました。





【作成日:H13.7.15  作成者:宮木】

テーマ決定!!『調理業務時の作業中断時間の短縮』


 現 状 把 握 

調理業務時の作業中断時間(図・3参照)について、1ヶ月間調査した結果18日も作業が中断し、最低1.5分、最高36分
合計209分も作業が中断しました。

調理業務時の作業中断時間(図・4参照)の合計209分を作業別にわけた結果、作り方の問合せに193分かかっており
全体の92%
を占めていました。
作り方の問合せによる作業中断時間(図・5参照)193分について料理別にわけた結果
主菜料理の問合せが132
分かかっており全体の68%を占めていました。




図−4 調理業務時の作業中断時間       図−5 作り方の問合せによる作業中断時間
【作業別】
                         【料理別分類】

調査期間:H13年7月15日〜8月14日
                   調査期間:H13年7月15日〜8月14日
            
【作成日:H13.8.15  作成者:今井】


 目 標 設 定 

主菜料理(作り方)の問合せによる作業中断時間(図・6参照)を
平成13年
10月15日までに
132分を66分にする

と目標を設定しました。
根拠は、作り方の問合せ時間を0分にすることは不可能ですが
私たちが余裕を持って作業を行っていきたい為
メンバーで話し合い半減することにしました。



図−6 主菜料理(作り方)の問合せによる作業中断時間


【作成日:H13.8.16  作成者:上杉】


  活 動 計 画  

活動計画は予定を点線、実施を実線で示しました。
テーマ選定時に問題点を探し出すのに時間がかかった為、少しずつのズレが生じてしまいました。
要因解析から対策立案・実施までは毎日昼休みに会合を開いたため、期間内にテーマを解決することができました。





 要 因 解 析 

『主菜料理(作り方)の問合せによる作業中断が生じる』を特性に連関図(図・7参照)を作成した結果
重要要因として「料理方法がわからない」、「食種によって使用できない食材が献立表に記載されている」の
2つの重要要因をあげました。




【作成日:H13.8.20  作成者:宮木】


  検  証 

そこで、「料理方法がわからない」を主菜料理151品目について献立表を見て料理を作れるか、調理員に調査した結果
入職して5ヶ月の新人は献立表では(図・8参照)ほとんど料理方法がわかりませんでした。
3年目の人がわからなかった主菜の品目は(図・9参照)正月料理や行事食などのように1年に1回ぐらいしか作らない献立でした。9年目以上の人がわからなかった献立は初めて登場した新メニューでした。

献立表通りの食材で料理を作れないを検証するために潰瘍食の献立表(図・10参照)を調査した結果はこれです。



【検証1】料理方法がわからない
(主菜料理151品目について献立表をもとに調査しました)






【検証2】食種によって使用できない食材が献立表に記載されている。


【作成日:H13.8.20  作成者:宮本】


 対 策 の 立 案 

『主菜料理(作り方)の問合せによる作業中断を減らす』を系統図(図・11参照)で項目別に評価した結果
10点満点の「献立表と別に料理方法の手順書を作成する」「新メニューの料理方法の手順書を作成する」の
2項目を実施することにしました。

重要要因2の対策※印については栄養士の領域で、自サークルでは対策が取れないため今回の実施は見送りました。
しかし、後工程の問題として所属長に相談したところ
今回のQC活動期間内には間に合いませんが実施して頂けることになりました。




【作成日:H13.8.25  作成者:西村】


 対 策 の 実 施 計 画 

主菜料理の作り方をわかるようにするために、対策項目の実施計画を5W1H(図・12参照)でまとめました。
料理方法の手順を9月15日までに作成するため、全員が毎日昼休みや空き時間を利用して話し合いをしました。

結果、主菜料理手順書(料理レシピ)を151品目作成いたしました。




【作成日:H13.8.25  作成者:西村】

主菜料理手順書(料理レシピ)を151品目作成



 効 果 の 確 認 

平成13年9月16日〜10月15日の1ヶ月間、主菜料理(作り方)の問合せによる作業中断時間(図・13参照)を調査しました。
その結果、目標は66分でしたが28分と予想以上の効果がでました。
その結果、調理業務時の作業中断時間も大幅に短縮することができました。

無形効果(図・14参照)は、今回活動を終えて充実感がとてもありました。

波及効果(図・15参照)は、料理手順書作成のため料理方法の統一が出来ました。

また、毎日昼休みに会合を持つことによって、メンバーのコミニケーションがとれ料理に対する関心も高まりました。








【作成日:H13.10.17  作成者:須賀野】


 標 準 化 と 管 理 の 定 着 

標準化と管理の定着のため、5W1H(図・15参照)でまとめました。




【作成日:H13.10.25  作成者:宮本・永松】


 反 省 と 今 後 の 課 題 

ステップごとに良かった点と苦労した点・反省点を(図・16参照)まとめました。一番良かった点は、身近な問題に取り組むことができ、業務がやり易くなりました。また一番苦労した点は、新人が理解できる料理手順書を作成するために時間がかかったことです。
現在の料理手順書を今後、入職する新人の意見を取り入れながら、イラスト・写真などを使用して
さらにわかり易いものに改善していきたいと思います。





【作成日:H13.10.30  作成者:藤由】




 そ の 後 の 経 過 1 

主菜料理(作り方)の問合せによる作業中断時間(図−17参照)は、平成14年1月現在で月あたり10分まで短縮することができました。
この結果は、作業効率に大きく貢献できたと思っています。
今後は、主菜だけでなく副菜や汁物についても展開していこうと考えています。

図−17 主菜料理(作り方)の問合せによる作業中断時間






 そ の 後 の 経 過 2 

作業中断時間が減り、調理作業終了時にデジカメで料理の写真を撮影することができ
更には、イラスト等を入れた料理レシピ(図-18参照)を作っています。

図−18






 そ の 後 の 経 過 3 


対策の立案で重要要因2の※印の具対策については、現在673種類の献立表の見直しを行い
毎日のミーティング時の決定事項を栄養士がコンピューター入力の変更を行っています。






問合せ先
三萩野病院 TQM事務局
中野・原口・川口

電話:093−931−7931
FAX:093−921−9836

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