協議会が発足して2年を経過した。第2回のフォーラムは成功裡に開催され, TQMという言葉も少しづつ知られるようになってきた。ちょうど協議会の発足と時を同じくして医療事故の多発が繰り返し報道されるようになり,医療事故防止に対する病院関係者の関心が高まっていることもその背景にあると思われる。一方で,医療事故防止と質改善/TQMが別のものと考えられている風もある。医療事故防止は質改善とTQMにとって第一義的な課題であり、これを実現できないような「質の向上」は患者さんにとっても病院にとっても「画に描いた餅」に過ぎない。医療事故は個人を責めることによっては防止できず,病院における医療プロセスの改善と医療提供システムの改革に向けた総合的質管理が不可欠であることは国内外において広く共通認識となっている。そのような国内事情を鑑みれば,今こそ、患者本位の医療の質や病院サービスの質の確保と改善のためのシステムづくりを支援し促進するという協議会設立の意義と役割を積極的に発揮すべき時と思われる。そこで平成13年度には次のような事業と活動を進める。1.研究事業の推進、2.改善活動のレベルアップ経の支援―特に臨床の質の改善への取組みの推進、3.広報活動の強化による改善活動の普及と会員の拡大、4.目的を同じくする諸外国の活動との交流の促進。

1.研究事業の推進
(1)医療事故防止と質保証をめざすTQMデモプロジェクトの実施(病院におけるTQMの試験的適        
   用):平成
13年度から3年間の予定で実施される「医療提供システムの総合的質管理手法に関す 
   る研究」(厚生科学研究事業申請中)への会員施設の参加を呼びかけるとともに、その成果を共
   有する。協議会としてはとくに,
i)テーマ別改善プロジェクトへの有志施設の参加と事業成果の
   紹介、
ii)課題別改善チーム活動によるシステム改善への貢献、iii)患者による医療と医療機関評
   価の標準化のための調査への参加、に参画する。
(2)研究部会の設置、および会報を会誌として充実させる方向で検討する。

2.改善活動のレベルアップ―特に臨床の質の改善への取組みの推進
改善活動のレベルアップをめざして、新しい手法やアプローチの発掘・紹介、医療ミスなど臨床的な 
質の問題への適用事例の交流と推進、改善活動の推進に関する諸問題の改善、を促進する。
(1)会員施設調査による活動強化ニーズの把握と支援
(2)フォーラムのテーマ設定やセッション設定の工夫
(3)推進事例に関する検討機会の設定
(4)フォーラムでの表彰チームの発表内容を会報、
HPおよび雑誌に紹介する
(5)会員施設の優秀事例を
HPで紹介する
(6)外国事例を含む教育的な記事を会報や
HPで紹介する
(7)手法に関する標準テキスト作成の検討

3.広報活動の強化による改善活動の普及と会員の拡大
新規会員数40以上を目標にする。会報・HPによる広報と,地域ごとの普及活動の支援
(1)会員に役立つ情報を、会報やHPを通じて積極的に提供する。
   ― フォーラム表彰チームの発表内容、会員施設の優秀事例を紹介する
   ― 教育的な知識及び国内外の情報・記事を増やす
(2)専門職団体や学会への広報を強め、職種の壁を超えてともに質の改善を考える唯一の場としての 
 
         
存在意義を強化する。
(3)セミナーやワークショップの開催;(以下は参考案)
i)  Mayoクリニックの改善活動に関するセミナー
ii)  医療事故防止に関する教育セミナー
iii) 2回協議会エラー防止ワークショップ(事例分析手法を中心に)
(4)
HP上に会員のチャットページを設ける
(5)関連学会,研究会との協力関係を強める

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